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2008.06.02

『山谷でホスピス始めました。』

Sanya

2006年3月に出版された本です。
当時、仕事でこの本が回ってきていつか読もうと思い、タイトルだけメモしておいたのですが、それきりになってしまっていました。

先月、カトリック新聞にこの著者の方と、この方が創設した山谷のホスピス「きぼうのいえ」が紹介されていて、猛烈に読みたくなり、図書館で借りてきました。
それは記事の中で、この方が創設にあたって1億円以上の借金をしたこと、そもそものきっかけが1985年の日航機墜落事故をテレビで見て「こういう地獄のどん底に突き落とされた人々と共に歩こう。こういう人々の悲しみを減らすためにだけ生きよう」と決意したことだとあったからです。

著書によると、この方はそのためにある修道会へ入り、神父を目指して上智大学の神学部へ進まれたそうですが、囲いの中の生活が合わず、修道会はまもなく退会されたそうです。

「きぼうのいえ」については公式HPに詳細が書かれていますが、マザー・テレサの「死を待つ人の家」の日本版を目指した、と著書にありました。

最初は賃貸物件で始めようとされたのですが、なかなか適当な物件がなく、あっても周囲の住民に反対されるなどして難航したそうです。そうこうするうちに山谷の不動産屋さんから、40坪の土地とそこに隣接する建売住宅を紹介され、土地にはホスピスを建て、建売住宅には奥様と住むという決断をされました。
そのために、1億2千万円の融資を銀行から受けることになったそうで、そんな額の借金をしようと決断することにも驚いてしまうのですが、その連帯保証人になってくれたという聖公会の司祭の言葉にもハッとさせられました。
「離婚を覚悟で知加子さんに相談したんだけど、山本君がちゃんとお祈りしてるんだったら、ということでお許しがでたよ。この計画、どこから考えても間違っていることはひとつもないんだからな」

ほかにも、どうしてもまとまったお金が必要な時にさっと寄付してくれる方が現れるなど、「支払いに困り、もうどうしようもなくなりそうだというたびに、誰かしらが手を差し伸べてくれるという不思議な事態を、なんども経験した」そうです。

こうしたことは、最初に私が通ったプロテスタント教会の方々も言っておられましたし、カトリック内観の藤原神父様も、新しく住むことになった家に聖櫃を置こうと思ったとき、ちょうどそれを買うだけのお金がある方から寄せられた、というエピソードを書かれていたように思います。

また、看護師である奥様との出会いのエピソードにも不思議な力が働いていたようです。
この施設を作るまえにボランティアを募るために、上智大学の社会人講座「ホスピス・ボランティア」へ出かけたところ、後に奥様となる女性が入室してきて、一目見たとたん「ああ、やっと会えたね」「このひとが大好きだ!」と思い、なぜかとても懐かしかった、とありました。
そしてこの奥様の方は、その日の朝、2年前に亡くされた恋人の遺影に向かって、虚勢を張ってひとりで生きていくのはもう疲れた、だから、わたしに誰かを導いてくれない?、と祈って来たそうです。
そんな不思議な出会いがあるんですね。

もうひとつ、この本を通して初めて知ったのが、「ミュージック・サナトロジー(音楽による看取り)」です。
「きぼうのいえ」にHPがリンクされていますが、これは死が近い人、痛みに苦しむ人と1対1で向かいあって、ハープと歌でその方を癒すというものだそうです。
「きぼうのいえ」でこれをボランティアとして行なっているキャロル・サックさんが、このHP内で述べられている言葉で「美しいと信じている私の仕事」というものがあり、ちょっと胸を衝かれました。

私は自分の仕事を「美しい」と形容できるでしょうか。
そうでないならば、いつか「美しいと信じられる仕事」をすることはできるでしょうか。

久々に一晩で一気読みをしてしまった本でした。

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Comments

こんばんは

本好きのclaraさん、興味をかきたてる本に出会うと熱中してしまうのですね、その集中力若さの証明です。
私など一行をぼーっと眺めて数分たってしまうことがよくあります。いかんいかんと思って読もうとするのですが、気がつくとまたまたボーです。そのうえ読み終わった瞬間に何が書いてあったのかもう忘れています、情けないです。本当に。
いろいろな偶然の一致が起こるのは、シンクロニシティ=意味のある偶然の一致は起こるべくして起こっていることのようですね。
claraさんにも何か思い当たることがあるのではないでしょうか。
私は、何と言ってもclaraさんに出会えたことです。

昨日クローズアップ現代で出版事情を放送していました。何でもランキングとかいうのが有って、そこで一番になると、ただそれだけで売れるそうですね、何だか変な世の中になってきましたね、ベストセラーなど読んだことがないので気持ちが分かりません。

Posted by: バッハ | 2008.06.05 at 21:50

バッハさん、こんばんは。

ランキングで1位になると→書店員さんが本を仕入れてそれを平積みにし→お客さんの目にとまって手にとってみる&お客さんもどこかで聞いたことのある書名で、ちょっと読んでみようかなと興味をそそられる→購入、という図式でしょうかsign02

私もベストセラーの本はほとんど読まないですねえ。
『女性の品格』という本が長らくランキング1位になっていたので、店頭でちょっと中をパラパラ見てみましたが、なぜあれがベストセラーになるのかわかりませんでしたsweat01
書いてあることが既にどこかで目にしたようなことばかりなように思えたのですが。。。(「品格」という言葉が受けたのでしょうかね。。)

Posted by: clara | 2008.06.06 at 23:07

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